英検やIELTSの長文読解で時間が足りなくなる生徒に、授業で伝えている解き方の戦略をまとめました。正答率と所要時間で問題を4つに分けて解く順番を決めること、スキミング・スキャニング・リーディングの3つの読み方の違いと使う順番、そして英語という科目に特有の「読めるはず」という前提の大切さを解説します。
目次

英検の準1級や2級、あるいはIELTSのリーディングで、「読めているはずなのに時間が足りない」「最後まで解けない」という相談をよく受けます。
読解の力そのものではなく、解く順番と読み方の使い分けで変わる部分が大きいので、授業で説明している戦略をこの記事にまとめます。
解く順番は「コスパ」で決める
すべての問題を頭から順に解く必要はありません。自分にとっての正答率と所要時間で、問題を4つに分けます。
- 正答率が高く、時間がかからない問題 → 最優先
- 時間はかからないが、正答率が上がりきらない問題
- 正答率は高いが、時間がかかる問題
- 時間がかかり、正答率も低い問題 → 最後
パパっと解けそうな問題から進めるのが基本です。そうすると、見直しにより多くの時間を残せて、戦略の余地が生まれます。
どの問題が自分にとって1番目なのかは、人によって違います。過去問を解きながら、自分の分類を作ってください。
読み方は3種類ある
長文の読み方には、目的の違う3つがあります。
スキミング:全体の流れをつかむ
各段落の1行目と最後の行だけを縦に読んでいく読み方です。「この文章は全体を通して何について議論しているか」を把握します。それだけで主題をつかめない段落は、途中の文も確認します。
IELTSの見出しを選ぶ問題のように、タイトルを選ぶタイプの問題は、スキミングだけで解けることが多いです。英検の長文にはタイトルを選ぶ問題はありませんが、先にスキミングで流れをつかんでおくと、内容一致問題が解きやすくなります。
スキャニング:必要な情報だけを探す
文章全体の意味を取らなくても解ける問題があります。表の空欄を埋めるタイプの問題などがこれです。必要な情報だけをぱっと見つけて書きます。ストーリーを味わう必要はありません。
読解の中での優先順位は2番目です。
リーディング:内容を理解して解く
文の前半が与えられて後半を選ぶ問題、True / False / Not Given の問題など、内容を理解していないと答えられない問題があります。ここで初めて、じっくり読みます。
スキミングとリーディングはセットで使う
ここが一番伝えたいポイントです。
いきなりリーディングから始めないでください。 先にスキミングであらすじだけ頭に入れて、その後でじっくり読む。この2ステップをセットで考えてください。
あらすじが分かっていないまま細部を読み始めると、文章に振り回されます。先に全体の流れをつかんでおくと、内容理解の問題も「1、2、3」とポンポン答えられるようになります。私の指導経験では、これが一番速くて正確な読み方です。過去問で、正答率と所要時間がどう変わるかを確かめてみてください。
スキミングは、タイトル問題のように直接点数になる場面だけでなく、点数にならなくても読みやすくするために毎回やるものだと考えてください。
英検準1級で、全段落を読んでから解く練習
スキミングが特に大事になるのが、英検準1級の長文です。
準1級の長文を読んでいると、本当はもっと長い文章だったのではないか、と私は感じます。出題時間や紙面に収めるために、元の文章を半分から3分の1くらいにぎゅっと圧縮したような作りです。長文そのものが、すでに要約になっているような印象です。
ふつうの文章は、賛成の人がいて、反対の人がいて、と緩やかに流れていきます。それを圧縮しているので、準1級の長文では話が急展開します。第1段落でこう言っていたのに、次の段落で賛成派の話になり、その次で反対派の話になり、最後はこうなる、という揺れがとても大きいのです。
ここで「第1段落だけ読んで1問目を解く、第2段落だけ読んで2問目を解く」という解き方をすると、段落ごとに読むのが一度切れます。その中断で話の流れを見失うことがあるため、当塾では全体を読んでから解く練習も取り入れています。
準1級では、第1段落、第2段落、第3段落と読んで、「なるほど、そういうことか」と全体を理解してから問題に進む方が、正答率が高くなりやすいと考えています。
- まずスキミングで、各段落が何を言っているかをざっとつかむ
- そのうえで、もう一度しっかり読む
- 内容が頭に入っている状態で、問題を続けて解く
つまり2回読むということです。場面が大きく変わるので、振り落とされないように読んでください。当塾の読解トレーニングに、読んだ内容を覚えていないと解けない形式のものがあるのは、この読み方を身につけるためです。
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空所補充は、選択肢を見る前に自分で予想する
英検2級や準1級の大問2は、長文の中の空所に入る語句を選ぶ問題です。大問1(語彙問題)はよくできるのに、この大問2で正答率が落ちる、という生徒がいます。
その場合に試してほしい解き方があります。
- 空所の前後を読む
- 選択肢を見る前に、「自分だったら、ここにこういう言葉を入れる」と頭の中で想像する
- 想像した内容に一番近い選択肢を選ぶ
空所補充の選択肢には、紛らわしいものが多く含まれています。先に選択肢を見ると、それに引っ張られます。先に自分の予想を持っておくと、惑わされにくくなります。
ある生徒は、この解き方に変える前は4問中0問の正解でしたが、変えたあとに同じ形式の問題を解き直したところ、6問中3問の正解になりました。全員に合うとは限りませんが、大問2で伸び悩んでいる場合は試してみてください。
英語は「読めるはず」という自信が結果を変える科目
最後に、少し変わった話をします。
リスニングで「聞けるはずだ」と思いながら聞くのと、「何を言っているか分からない」と思いながら聞くのでは、実際に聞き取れる量が変わります。これは授業で生徒を見ていて強く感じることです。
読解も同じです。「自分は読めるはずだ」という前提が構築されている状態で読むと、問題を見て「思っていたのと正解の選択肢が違う」となったときに、「なぜ違うのだろう」という差分で読むことができます。謎を解き明かすように原因を探せます。
反対に「読めないかもしれない」と思って読んでいると、迷った瞬間に読むこと自体をあきらめてしまいます。
英語は、自信が結果に表れやすい科目だと私は考えています。過去問で「読めるはず」の状態を作ってから本番に臨むことが、戦略の土台になります。不合格が続いたときに、過去問で良い結果が出る状態を作り直す考え方は英検に不合格だったあなたへにも書いています。
目標スコアから時間配分を逆算する
IELTSのように目標バンドスコアがある試験では、「何点を取りに行くか」で時間配分が変わります。まず目標を決め、そのために正答率をどこまで確保すればよいかを逆算し、そのうえで上の4分類を当てはめる。この順番で考えてください。英検準1級とIELTSの両方に取り組む意味は英検準1級とIELTS 6.0を両方持つ意味で紹介しています。
長文の語彙でつまずく場合は、先に単語の土台を固める方が近道です。2級の単語が準1級の長文にどう効くかは英検2級に難しい文法は必要?で説明しています。
まとめ
- 正答率と所要時間で問題を4つに分け、コスパの良い問題から解く
- スキミングは各段落の1行目と最後を縦読み。それでつかめない段落は途中も確認する
- スキャニングは情報探し。じっくり読む必要はない
- リーディングの前にスキミング。セットで使い、過去問で正答率と所要時間を確かめる
- 準1級の長文は話が急展開する。全段落を読んでから解く方が、正答率が高くなりやすい
- 空所補充は、選択肢を見る前に入る言葉を自分で予想する
- 「読めるはず」という自信が、迷ったときの読み方を変える
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よくある質問
- 英検やIELTSの長文読解で時間が足りないときは、どうすればよいですか?
- すべての問題を頭から順に解かず、自分にとっての正答率と所要時間で問題を4つに分けて、解く順番を決めます。
正答率が高く時間がかからない問題を最優先にし、時間がかかり正答率も低い問題を最後にします。そうすると見直しにより多くの時間を残せます。どの問題が最優先になるかは人によって違うので、過去問を解きながら自分の分類を作ります。 - スキミングとスキャニングの違いは何ですか?
- スキミングは全体の流れをつかむ読み方、スキャニングは必要な情報だけを探す読み方です。
スキミングでは各段落の1行目と最後の行だけを読み、文章が全体を通して何について議論しているかを把握します。それだけで主題をつかめない段落は、途中の文も確認します。スキャニングは、表の空欄を埋める問題のように、文章全体の意味を取らなくても解ける問題で使います。 - 英語の長文は、最初からじっくり読み始めてもよいですか?
- いきなりじっくり読み始めず、先にスキミングであらすじだけ頭に入れてから読むことを、オンライン英語塾クルードではおすすめしています。
あらすじが分かっていないまま細部を読み始めると、文章に振り回されるためです。スキミングは、タイトルを選ぶ問題のように直接点数になる場面だけでなく、読みやすくするために毎回行うものと考えてください。 - 英検準1級の長文は、段落ごとに読んで1問ずつ解いてもよいですか?
- 全段落を読んで全体を理解してから問題に進む方が、正答率が高くなりやすいと、オンライン英語塾クルードでは考えています。
準1級の長文は話が急展開するため、段落ごとに読むのを中断すると流れを見失うことがあるためです。段落ごとに解く方法とも比べ、自分の正答率と所要時間に合う読み方を選びましょう。 - 英検2級・準1級の長文の空所補充(大問2)で正答率が落ちるときは、どう解けばよいですか?
- 選択肢を見る前に、空所に入る言葉を自分で予想する解き方を試してください。
空所の前後を読み、自分ならここにどんな言葉を入れるかを想像してから、それに一番近い選択肢を選びます。空所補充の選択肢には紛らわしいものが多く、先に見ると引っ張られるためです。全員に合うとは限りません。 - IELTSのリーディングの時間配分はどう決めればよいですか?
- まず目標のバンドスコアを決め、そこから逆算します。
何点を取りに行くかで時間配分が変わるためです。目標のために正答率をどこまで確保すればよいかを逆算し、そのうえで、正答率と所要時間で問題を分けて解く順番を決めます。
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